研究・開発の窓 COLUMN
研究・開発の窓
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老化抑制の鍵を握るオートファジーの活性を制御し、加齢性疾患の予防や治療につなげる
奈良県立医科大学 オートファジー・抗老化研究センター長 中村修平氏オートファジーの活性化は寿命延長のコアメカニズム 2024年4月、奈良県立医科大学に「オートファジー・抗老化研究センター」が設立された。同センターのセンター長を務める中村修平氏(生化学講座教授)は、老化とオートファジーの関連を解明し、加齢性疾患の発症や進行の抑制を目指す研究者だ。オートファジーは真核生物において、細胞内で不要となったタンパク質を回収・分解・リサイクルするシステムである。不用品を二重膜で包み込んだ直径...
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膜タンパク質の分解機構である「シェディング」が持つ生物学的意味を解明したい
立命館大学生命科学部教授・白壁恭子氏シェディングは細胞間コミュニケーションを調節する タンパク質には修飾を受けることで生体内での機能が変わる性質がある。「シェディング」は細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質をプロテアーゼと呼ばれるタンパク質を切るハサミが切断し、細胞外領域を可溶化するタンパク質修飾機構である(図1)。 立命館大学生命科学部教授の白壁恭子氏(生命医科学科タンパク質修飾生物学研究室)は、「細胞は種々のシグナル分子や受容体を介してお互いにコミュ...
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肝がん、動脈硬化、認知症などの疾患とコンドロイチン硫酸合成異常の関連を解明
神戸薬科大学 学長・教授北川裕之氏(生化学研究室)近年、GAG(グリコサミノグリカン)と称される硫酸化糖鎖の生物学的機能が注目されるようになった。神戸薬科大学の北川裕之学長(生化学研究室教授)は、コンドロイチン硫酸などのGAGの合成異常が、全身のさまざまな疾患の発症や進展に関与することを解明し、創薬や未病段階での病気の発症の予防に応用する研究を続けている。 GAGの多くはタンパク質と結合し、プロテオグリカンと呼ばれる糖タンパク質として存在する。プロテオグリカンは化粧品やサプ...
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製剤設計の効率化をめざし、製剤の特性をレオロジーで数値化する指標を提唱
静岡県立大学薬学部 近藤啓教授(創剤科学分野)レオロジー(流動学)は物体の粘性や弾性を研究する学問である。固体(弾性体)に外力を加えると変形するが、内部から反発力(応力)が生じて、外力を除くと元の形状に戻ろうとする。液体(粘性体)では応力が生じず、外力を除いても元の形状には戻らない。 医薬品や化粧品では、固形剤、液剤のほかに、その中間に位置する粘弾性体の製剤も多用されている。静岡県立大学薬学部の近藤啓氏はこのレオロジーに興味を持ち、「基礎研究と医薬品としての実用化の間を...
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シトクロムP450の研究で化学物質代謝の種差や発がんメカニズムを解明
昭和薬科大学 薬物動態学研究室 教授 山崎 浩史氏薬物代謝酵素として有名なシトクロムP450は、還元状態で一酸化炭素と結合して450nmに吸収極大を示す色素(pigment)であり、1962年に大阪大学蛋白質研究所の大村恒雄博士、佐藤了博士によって「シトクロムP450」と名付けた最初の英文原著が出された。 シトクロムP450には多くの分子種(CYPファミリー)があり、ヒトや動物の体内でさまざまな化学物質の形を変える触媒として働く酵素であることが知られているが、昭和薬科大学教...
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小児の白血病を引き起こす分子メカニズムの解明から革新的創薬へ
国立がん研究センター 鶴岡連携研究拠点 チームリーダー 横山明彦氏小児がんの40%以上を占めるのが白血病やリンパ腫などの血液がんである。国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点のチームリーダー・横山明彦氏は小児白血病のメカニズム解明や治療法開発に取り組む研究者だ。 その研究成果から生み出された治療薬候補化合物は、現在、大手製薬企業によって臨床試験が進められている。国立がん研究センター鶴岡研究拠点は、2017年に地方創生事業の一環として同センターの研究機能の一部を移転して誕生し、慶應義塾大学先端...