研究・開発の窓 COLUMN
研究・開発の窓
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小児の白血病を引き起こす分子メカニズムの解明から革新的創薬へ
国立がん研究センター 鶴岡連携研究拠点 チームリーダー 横山明彦氏小児がんの40%以上を占めるのが白血病やリンパ腫などの血液がんである。国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点のチームリーダー・横山明彦氏は小児白血病のメカニズム解明や治療法開発に取り組む研究者だ。 その研究成果から生み出された治療薬候補化合物は、現在、大手製薬企業によって臨床試験が進められている。国立がん研究センター鶴岡研究拠点は、2017年に地方創生事業の一環として同センターの研究機能の一部を移転して誕生し、慶應義塾大学先端...
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抗体薬物複合体の生体膜透過メカニズムを解明し、医薬品の体内動態の最適化を目指す
東京薬科大学薬学部 井上勝央教授(薬物動態制御学教室)近年、抗体やRNAなど新しい創薬モダリティを用いた医薬品の開発が急増しているが、東京薬科大学薬学部教授の井上勝央氏(薬物動態制御学教室)らは、これらの医薬品の細胞内への取り込み(生体膜透過)を中心に研究を重ねている。 井上氏は「創薬では薬効のある医薬品を世に出すことが優先されるため、ニューモダリティを用いた医薬品の体内動態の解明や最適化は一歩も二歩も遅れている」と指摘し、「それらを解明し、制御する方法を開発することにより、よ...
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マウスの体内でヒト肝細胞を培養し、安定的・継続的に均質な実験用細胞を供給する
公益財団法人実験動物中央研究所 研究部門長 末水洋志氏ヒトの肝臓から採取した初代肝細胞は、ドナーによる個体差や供給量の限界といった問題が生じるが、これらの問題を解決したヒト化肝臓キメラマウス由来肝細胞「HepaSH細胞」を開発したのが実験動物中央研究所・研究部門長の末水洋志氏だ。 実験動物中央研究所(川崎市)は1952年に創立された民間の研究所で、公益に資することを目的に実験動物の品質管理に関する基礎研究を続けてきた。1979年には世界で唯一国際実験動物学会議(ICLAS)から...
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次世代の個別化がん免疫治療「ネオアンチゲン・ワクチン、TCR-T細胞治療」の開発に挑む
垣見和宏氏(東京大学医学部附属病院/近畿大学 教授)免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場以降、がん免疫治療が脚光を浴びているが、患者ごとに固有のがん抗原を標的とする個別化がん免疫治療「ネオアンチゲン・ワクチン、T細胞受容体遺伝子導入T細胞治療(TCR-T細胞治療)」の開発を進めている研究者が垣見和宏氏(東京大学医学部附属病院免疫細胞学講座特任教授/近畿大学医学部・大学院医学研究科免疫学教室主任教授)だ。 垣見氏が研究生活に入った1990年代は、肝炎ウイルスの研究が飛躍的...
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毛細血管とグリコカリックスの研究を多様な疾患の治療や予防につなげたい
岐阜大学大学院 医学系研究科 富田弘之准教授(腫瘍制御学講座 腫瘍病理学分野)グリコカリックス(糖衣)は、血管内皮などの細胞表面を覆う糖蛋白質のゼリー状かつ帯状の構造体で、近年、さまざまな生理的機能を有することが明らかになってきている。岐阜大学大学院医学系研究科の富田弘之准教授らは、血管内皮グリコカリックスの構造や機能、疾患との関係などを解明する研究を進めている。 グリコカリックス(図1)は、ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などのグリコサミノグルカンと、それを支えるシンデカンなどのコア蛋...
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日本人のトリメチルアミン尿症の実態と原因究明を進め、体臭に悩む患者を救いたい
昭和薬科大学 薬学部 清水万紀子准教授(薬物動態学研究室)トリメチルアミン尿症(別名・魚臭症候群)は、「魚の腐ったような臭い」と例えられる悪臭物質トリメチルアミンによる特異的な体臭を特徴とする疾患である。生命を脅かす疾患ではないが、罹患者は学校や職場などで社会生活を送る際に精神的な苦痛を受け、生活に制限がかかってしまうこともある。 昭和薬科大学薬物動態学研究室の山崎浩史教授、清水万紀子准教授らの研究グループは、日本におけるトリメチルアミン尿症の実態や原因を解明する研究を続けている。...